防犯設備士の設計術
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セキュリティ対策は、単に防犯カメラを設置すればよいというものではありません。適切な機材選定や設置計画はもちろん、リスクを正しく分析し、目的に応じた防犯カメラシステムを構築することが求められます。そこで重要な役割を担うのが「防犯設備士」です。
当社にはこの防犯設備士に加え、上位資格である総合防犯設備士を持つ防犯のエキスパートが各拠点に在籍し、多様なニーズに対応しています。
防犯設備士とは
防犯設備士とは、公益社団法人 日本防犯設備協会が認定する資格で、防犯設備に関する専門的な知識や技能を有する専門家のことを指します。防犯設備の設計、施工、維持管理、防犯診断などの業務を行い、地域の防犯対策や安全安心なまちづくりに貢献しています。
詳細はこちらで確認 → 【公益社団法人 日本防犯設備協会公式】防犯設備士
本記事では、防犯設備士の視点からセキュリティの考え方と、防犯カメラシステムの構築手順について解説します。
実際の導入時にどのようなポイントを押さえるべきか、専門家の知見をもとに詳しくご紹介していきます。
セキュリティの考え方の変化
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セキュリティの定義は時代と共に進化し、今や多面的なリスク対策が不可欠。
皆様は「セキュリティ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
防犯カメラやセンサーといった防犯設備、もしくはサイバーセキュリティを思い浮かべる方が多いかもしれません。 しかし、セキュリティの考え方は時代とともに進化しています。従来は犯罪防止が中心でしたが、現在では自然災害や人災、パンデミックなどを含めた、多面的なリスクを想定した総合的な対策が求められています。
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犯罪やトラブルが多様化した現在、カメラでの映像セキュリティや、鍵などの物理セキュリティ、サイバー犯罪対策のネットワークセキュリティなど総合的な対策が必要になりました。 企業としてもセキュリティポリシーの設定や、個人情報とプライバシー保護、運用オペレーションの改善が求められています。
弊社は株式会社 日本防犯システムから、株式会社ジャパン・セキュリティシステムに改名いたしました。
カメラでの防犯対策だけでなく、広義の「セキュリティ」をご提案ご提供できるよう尽力してまいります。
防犯カメラシステム設計の流れ
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プロの目線で、設置ユーザ様の意向を確認します。
守りたいものは何か。
「守る」とは被害の発生を防ぐ対策をすることです。関係者のリスクに対する不安感を除去し、安心感を確保することが「守る」ことに繋がります。
明確に「こうしたい」というビジョンがユーザ様にない場合、防犯設備士はプロの目線で確認し、防犯カメラシステムを使用してどのように「安全・安心を提供」できるかを考え、ご提案します。
最適なシステムを構築するための考え方や手順を、以下9点に分けてご紹介いたします。
項目名のリンクをクリックすると、該当箇所に遷移して詳細をご確認いただけます。
① 撮影対象と画角を確認
まず、防犯カメラの設置目的を明確にすることが大切です。
どのようなリスクを想定し、何を守りたいのかを整理することで、適切なカメラの選定や設置場所の決定に繋がります。
たとえば、
- ・ 【設置目的】不審者の侵入を監視したい → 出入口やフェンス周辺にカメラ設置する(場所決定)
- ・ 【設置目的】トラックの出入りを記録したい → ナンバーが読める解像度のカメラを選択する(機材決定)
上記のように、何をどのように撮像したいか、どこを映したいか、何m先がどんな見え方だと良いかを明確にして、最適な機材・場所を決定します。
- 画角についての解説
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防犯設備士は、「画角A25」「画角A」「画角B」「画角C」で画角を表現しています。
- ・ ❶ 画角A25:画面のほぼ1/4サイズで人間の全身像
- ・ ❷ 画角A:画面のほぼ1/2サイズで人間の全身像
- ・ ❸ 画角B:画面全体に人間の全身像 ※画角Bは画角Aの倍の大きさで映っている=距離は1/2
- ・ ❹ 画角C:画面全体に人間の胸部から上
人物の特定を目的とする場合、昨今の機器は高解像度のため、画角Aまたは画角A25で撮像することが多いです。水平画角は100度前後です。
設置高は2.5m~3m程度だと自然な見え方になります。
- 防犯カメラの焦点距離とは?
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画角と撮影位置の関係
カメラのレンズ部のスペックには焦点距離(f=2.8mmやf=13mmなど)の記載があります。この数値によって映る範囲や対象の見え方が変わります。
焦点距離と映り方の関係
※人間の身長を約170㎝と仮定した場合
「f=2.8mm」の場合
- ・2.8m先にいる人 → 画面の半分ほどに映る(画角A)
- ・1.4m先にいる人 → 画面いっぱいに映る(画角B)
「f=12mm」の場合
- ・12m先にいる人 → 画面の半分ほどに映る(画角A)
- ・6m先にいる人 → 画面いっぱいに映る(画角B)
画角Aの映像では、人の動きがはっきりわかり、車両ならナンバープレートの読み取りに適しています。
- 焦点距離を理解する利点
- ・事前に適切なカメラを選べる
- ・「現場で映してみないとわからない」などのトラブルを防げる
▶ 例)「建物から200m先にある門を出入りするトラックのナンバープレートが見たい」場合の考え方
- 1. 焦点距離:f=200mmをカバーできるカメラを選定する(望遠レンズ or PTZ)
- 2. 選定カメラ:PF-CW1043S
- 3. 選定カメラの焦点距離:f=6~216mm
以上のように、焦点距離を考慮して最適な防犯カメラを選定します。
② カメラ設置場所の選定
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カメラだけでなく、取付けに使う周辺機器のことも考えます。
次に、カメラをどこに設置するのが最適かを検討します。
撮影範囲だけでなく、設置環境や取付け方法にも注意が必要です。
以下のポイント確認して設置場所を決めます。
- ・壁や天井の材質強度
- ・取付け金具(ブラケット)
- ・カメラの配線と必要になる収納ボックス(「ジャンクションボックス」や「プールボックス」など)
- ・トリガーとなる行動を撮像できる場所はどこか
- ・1台のカメラがカバーする範囲
- 製品取付け用の周辺機器
各種カメラ製品を取り付ける際に使用するブラケット(取付金具)をいくつかご紹介します。
下記リンクから製品詳細ページをご覧いただけますので、どんなものがあるのか是非確認してみてください。
③ レコーダの設置位置
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環境に応じた適切な配線で設置することで、トラブルを未然に防ぎます。
カメラだけでなく、録画機(レコーダ)の設置場所も重要です。
レコーダを適切な環境に設置し、配線計画をしっかり立てることで、トラブルを未然に防ぎます。
メンテナンスのしやすさやモニタリング環境を考慮し、適切な配線を計画しましょう。
設置時に確認すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- ・誰が映像を確認するのか
- ・配管の有無
- ・必要な配線距離(各配線が何m程度になるか)
- ・防火シャッターなどの区画
- ・EPSルート
- ・事務所内の配線
※EPS(Electric Pipe Space/Shaft):電気配線を通すための専用スペース
④ カメラシステムの規格を選ぶ
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カメラの種類には「IPカメラ」と「AHDカメラ」があります。新設・増設・入替の状況や配線ルートも考慮しながら、どちらの規格を使用するか選定します。
- 各カメラ規格の特徴
- ・ネットワーク(IP)カメラ:高画質、多機能、ネットワーク接続可能
- ・アナログHDカメラ:既存のアナログ配線(同軸ケーブル)を流用可能、コストを抑えられる
カメラに必要な機能、赤外線LED照射距離なども確認し、選定します。
▶ 例)カメラ近辺で電源確保できない長距離配線時はアナログHDワンケーブル…など
⑤ 防犯カメラの機種選定
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カメラの規格を決めたら、撮影対象及びカメラ設置場所に即した機能で機種を選定します。
適切なカメラを選定するため、以下のポイントを確認します。
- ・【設置場所 / 筐体形状・画角】屋外 or 屋内 / バレット・PTZ・全方位・ドーム・ボックス
- ・【解像度】2MP / 5MP / 4K
- ・【赤外線照射距離】20m / 50m / 350m
- ・【通信の有無】SIMカメラ、クラウド
- 製品を探す
製品カテゴリ、設置場所、目的・用途からジャパン・セキュリティシステムが取り扱う防犯セキュリティ製品を探せます。製品選びに迷った際に是非ご活用ください。
⑥ 伝送路のシステム構成
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カメラの映像をどのように送るかを考えます。
下記ポイントを考慮し、適切な伝送方法を選びます。
- ・伝送路(LANケーブル or 同軸ケーブル)は新設か既設流用か
- ・ネットワークカメラでLAN配線の場合は、PoEスイッチを100mごとに配置
- ・無線LANアクセスポイントも検討(長距離伝送や道路跨ぎが必要な場合)
- ・ビットレート計算(IPカメラなら1台あたり約8Mbpsを想定し、スイッチングハブにかかるデータ負荷を想定)
⑦ カメラ用電源の選定
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使用するカメラのシステム規格に応じて、適切な電源を選定します。電源方式を誤ると、配線の手間が増えたり、機器が正常に動作しない原因になります。
- ・ネットワークカメラ(IPカメラ)場合 → PoEスイッチを選定
- ・大規模なシステムや高度なセキュリティ対策が必要な現場 → マネジメントスイッチやVLAN対応のL3スイッチ
- ・アナログHDカメラの場合
- - ワンケーブル方式なら電源重畳ユニットを使用
- - 電源別送型ならマルチ電源ユニット(AE線で配線)またはカメラ近辺でACアダプタを利用
適切な電源供給が行えないとカメラの動作が不安定になるため、カメラシステムの規格や選定した防犯カメラに合った電源を使用します。
⑧ レコーダ(録画機)の選定
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録画データを適切に管理するために、レコーダの種類や性能を考慮する必要があります。
以下の点を確認し、システムに適したレコーダを選びます。
- ・カメラの規格(ネットワーク or アナログHD)に適合するかどうか
- ・接続する防犯カメラの台数
- ・録画期間の要望
- ・画質(解像度・圧縮率)
- ・フレームレートfps
- ・総ビットレート
- ・冗長化(RAID)の有無
カメラ設置台数に対応した機種とHDD容量を決めます。(基本の4TBで何日録画可能か試算しておく)
現場要望に合わせ3週間前後の録画期間を確保します。(例:食品工場は賞味期限分の録画)
- レコーダ製品を探す
「ネットワーク(IP)」と「アナログHD」それぞれのレコーダ一覧です。下記リンクより各製品詳細ページをご確認いただけます。
⑨ モニタリング機材の選定
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録画した映像をどのように確認するかも、システム設計の重要な要素です。
利用者や環境に応じて適切な機材を選定します。
- ・誰が録画映像を見るのか
- ・既設ディスプレイを使用する場合は、4KまたはフルHD対応かHDMIの入力端子はあるか
- ・遠隔モニタリングする場合は、スマホ・タブレットも選択肢に入れる
- モニタリング用の周辺機器
録画映像のモニタリングに使用できるモニタ一覧です。下記リンクから製品詳細ページをご確認いただけます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
防犯カメラの設置には、目的に合った機種の選定、適切な設置場所の確保、そして配線・電源計画が欠かせません。
特に、設置環境や運用方法に応じたシステム選定を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
防犯カメラ選びに迷ったら、専門家に相談するのがおすすめです。
ジャパン・セキュリティシステムは、全国10拠点に防犯設備士・総合防犯設備士の資格をもったセキュリティコンサルタントを配備しております。メーカーならではの情報力を生かしてお悩みを解決し、ユーザ様の環境に最適な防犯システムの導入をサポートいたします。是非お気軽にお問い合わせください。
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