防犯カメラに求められる防水性能とは?
近年、線状降水帯や低気圧の影響で大雨災害が増え、屋外設置の防犯カメラには過酷な環境下でも耐えうる防水性能が求められています。
2024年には、都心で猛烈な雨が観測され、地下鉄の駅構内に雨水が流れ込む事態も発生しました。
こうした状況下で防犯カメラが安定して稼働するためには、防水性能を正しく理解し、適切な製品を選ぶことが重要です。本記事では防水性能を測る「IP等級」を中心に、その基準や選定ポイントを解説します。
防犯カメラの防水性能と「IP等級」
IP(International Protection)とは、電気機器内への異物侵入に対する保護等級(JIS C0920)です。
屋外に設置する防犯カメラは雨風やほこりなどの影響を受けるため、防水・防塵性能が重要です。この性能は「IP等級」という国際規格で評価され、カメラの仕様には必ず記載されています。
IP等級を確認することで、そのカメラがどの程度の環境に耐えられるかを判断できます。
IP等級は「IP66」や「IP68」といった形式で表示され、2桁の数字で性能が示されます。
最初の数字(0~6)は防塵性を、2つ目の数字(0~8)は防水性を表し、数字が高いほど性能も高くなります。
以下は防塵性と防水性のそれぞれの数値の内容をまとめた表です。
- 防塵性についての数値(等級)
- 0級:特に保護がされていない
- 1級:直径50mm以上の固形物が中に入らない(握りこぶし程度を想定)
- 2級:直径12.5mm以上の固形物が中に入らない(指程度を想定)
- 3級:直径2.5mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない
- 4級:直径1mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない
- 5級:有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない(防塵形)
- 6級:粉塵が中に入らない(耐塵形)
※6級以外は何らかの固形物が内部に侵入する可能性があります。
- 防水性についての数値(等級)
- 0級:特に保護がされていない
- 1級:鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴Ⅰ形)
- 2級:鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴Ⅱ形)
- 3級:鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防雨形)
- 4級:あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない(防沫形)
- 5級:あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形)
- 6級:あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない(耐水形)
- 7級:一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない(防浸形)
- 8級:継続的に水没しても内部に浸水することがない(水中形)
※0級から6級までは内部浸水が発生する可能性がありますが、必ず浸水する訳ではありません。
屋外設置には「IP66」以上の製品が推奨され、雨風の影響を受けにくい構造となっています。
関連製品
ジャパン・セキュリティシステムの防犯機器は、屋外設置タイプに分類されるカメラはすべてIP66もしくはIP67の基準をクリアしています。
該当する各種防犯カメラの製品ページは、下記リンクよりご確認いただけます。
寒冷地対応カメラの実力と導入事例
-40℃の極寒環境でも安定稼働!
寒冷地でも安定して動作する防犯カメラの需要は高まっています。その一例として、秋田県内のとある施設における導入事例をご紹介いたします。
この施設では冬季における厳しい寒さや降雪も課題でしたが、寒冷地対応カメラがその問題を解決しました。
ヒーター内蔵なのでマイナス40℃の極寒環境でも稼働が可能で、降雪や氷点下の条件下でもモニタリング機能を維持します。また、現場の特性に合わせた設置計画を立てることで、効率的な防犯体制の構築が実現しました。
具体的な運用事例については、以下のリンクから詳細をご覧ください。
過酷な環境でも動作可能で安心・安全。「石田ローズガーデン様」の導入事例です。
関連製品
ヒーター内蔵防犯カメラの製品詳細ページは以下のリンクよりご確認いただけます。
施工時のポイントとサポート体制
わからないことや不安なことがありましたら、ご相談ください!
屋外用カメラは本体に防水性能が備わっていますが、一部の接続部等は防水仕様ではありません。このため、設置時には防水処理を施すことが重要です。処理が不十分だと、大雨や湿気の影響で浸水や故障の原因となる場合があります。
防水処理の施工例としては以下の2点があげられます。
- ①電源端子やネットワークポート端子といった接続部
- ②ジャンクションボックス使用時のケーブルを通した穴の隙間
①電源端子やネットワークポート端子といった接続部
自己融着テープを巻いてから更にビニールテープを巻きます。
防水性能がないビニールテープのみを使用すると、経年変化により浸水や錆びが発生する事があります。防水処理をする際は防水性能のある自己融着テープ等の使用を推奨しています。
②ジャンクションボックス使用時のケーブルを通した穴の隙間
ケーブルを通すための穴に隙間が開きますので、パテで塞ぎます。
カメラ本体以外の部分で浸水が原因となる故障は無償保証の対象外となります。長く安心してお使いいただくために、施工の際には十分なご確認をお願いいたします。
ジャパン・セキュリティシステムでは施工時のアドバイスやサポート体制を整えています。詳細は弊社営業担当までお問い合わせください。
最後に
いかがでしたでしょうか?
防犯カメラの防水性能は、設置環境に適した製品選びや施工の精度によって真価を発揮します。
ご相談やお見積もりはお気軽にお問い合わせください。皆様の安心と安全を全力でサポートいたします。