配線が難しい案件の解決策3選

防犯カメラを設置する際、配線が難しい環境に直面することは少なくありません。
配線工事がコストや時間の面で負担になるケースや、そもそも有線接続が不可能な状況もあります。そこで今回は、実際の導入事例も交えて、無線通信を活用して配線の課題を解決した3つの方法をご紹介します。
工場と社員寮を同時にモニタリング(食品加工工場)

2つの建物を隔てる「道路」という物理的障害を解決する
ある食品加工工場では、工場と道路を挟んで向かい側にある社員寮を一元的にモニタリングするため、防犯カメラシステムを新規導入しました。 建物間の距離や道路の存在が課題となる中、既存システムをリプレイスし、無線通信を活用することで、コストを抑えつつ物理的な障害を克服しました。
解決策とポイント
- 既存の同軸配線を活用:稼働中のシステムはリプレイスし、コストを抑えつつ性能を向上。
- 無線通信を活用:工場と社員寮の映像を、工場側の管理室で一元的にモニタリング可能に。
- 食品工場特有の環境に配慮:湯気や湿気の影響を受けにくい機器を選定。
このシステムの導入により、配線工事を最小限に抑えつつ、広範囲をカバーできるモニタリング体制が実現しました。将来的なシステム拡張の際にも柔軟に対応できるため、長期的な運用コストの削減にも貢献します。

電源不要の自立発電型防犯カメラ(オフグリッド環境)

配線だけでなく、電源供給も厳しい設置環境を解決する
電源やネットワークが整っていない場所では、通常の防犯カメラの設置は極めて困難です。しかし、自立発電機能を備えた防犯カメラを活用すれば、配線工事なしで設置が可能になります。
- オフグリッドとは?
オフグリッドとは、電力会社などの公共の電力網(グリッド)から独立して、自家発電などで電力を自給自足する生活スタイルやシステムのことです。
例)太陽光発電や蓄電池などを利用して必要な電力を自分でまかなうシステム
解決策とポイント
- 太陽光発電(蓄電池搭載):電源供給が不要で、無日照状態でも2~3日間稼働。※
- 4G/LTE通信対応:配線なしで遠隔監視・録画再生が可能。
- 高画質&夜間撮影対応:フルHDカメラと赤外線照明で、24時間モニタリングを実現。
※夜間赤外線LEDを使用する場合は、連続稼働に制限がかかる場合がございます。
このカメラは、河川沿い、無人店舗、工場・資材置き場などのモニタリングに最適です。配線の問題を解決するだけでなく、柔軟な設置が可能な点も大きな魅力です。また、オフグリッド環境でも稼働できるため、災害時のモニタリング用途としても有効であり、緊急時のセキュリティ確保に貢献します。

1km以上の長距離映像伝送(ロープウェイ監視システム)

目視確認に伴う業務負担を軽減し、安全性の向上を実現
香川県小豆島の寒霞渓ロープウェイでは、これまで目視で行っていた点検作業をカメラシステムに置き換え、安全性を向上させました。しかし、ロープウェイは全長1km以上、高低差300mを超えるため、一般的な有線接続では対応できません。そこで、長距離伝送が可能な無線通信技術が活用されました。
解決策とポイント
- 無線LANアクセスポイントの活用:長距離でも安定した映像伝送を実現。
- 光学36倍ズーム対応PTZカメラを導入:点検作業の安全性を確保し、人の負担を軽減。
- 落雷による機器不良のリスク軽減:無線を採用したことで機器不良のリスクを局所に細分化。
このシステムの導入により、有線設置と比較して施工コストを大幅に削減しつつ、ロープウェイの安全性を向上させることができました。従来の目視に比べ、遠隔で高精度な映像を確認できるため、異常の早期発見が可能になり、事故のリスクを大幅に低減します。また、管理者の負担も軽減され、より効率的で安定した運用が実現しました。

まとめ
今回ご紹介した3つはいずれも「配線が困難な環境」において、無線通信技術を駆使して課題を解決したケースです。
- ①食品工場と社員寮のモニタリングシステム → 距離や立地の制約を無線で解決。
- ②自立発電型防犯カメラ → 電源不要で、どんな場所でも設置可能。
- ③ロープウェイの遠隔監視システム → 長距離無線伝送で、業務改善しつつ安全性も向上。
防犯カメラの設置には配線の課題がつきものですが、無線技術を活用することで、これまで不可能だった場所にも柔軟に対応できます。配線がネックになっている方は、ぜひこれらの事例を参考になさってください。
ジャパン・セキュリティシステムは、ユーザー様の環境に最適な防犯システム導入をサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
